ポスティング(QG通信2020年夏号vol.12掲載)

好きに書いてスミマセン--12

ポスティングという言葉をご存知でしょうか?宣伝チラシをポストに投函するお仕事です。当社では270名のチラシ配布員と契約し、1枚につき5円の報酬をお支払いして、月間50万枚の配布を行なっております。私も鞄には常にチラシを入れていて、外出先などで配布します。報酬は頂いていませんが、その地域のお庭の特徴を知りたいのと、創業時の原点を忘れないためにまいています。

ポスティングをしていると、人間というものを考えさせられます。人と接するお仕事ではないのに不思議です。

ポストに『チラシ、勧誘印刷物の投函はお断り』と書かれている場合は投函しません。中には『チラシ入れるな!』と強い口調で書かれている事もあります。間違って投函すると『取りに来い!』とお叱りのお電話を頂く事もあります。一方で『いつも配達ご苦労様です』、『配達ありがとう』と貼ってあるのを見ると、それが郵便屋さんや新聞屋さんへの言葉と分かっていても嬉しくなります。

庭先に出ている方には、ご挨拶して手渡しでお渡しするようにしております。でも先日は『コラッ!!』といきなり怒鳴られました。私有地に入ったと言うのです。こちらとしては謝るしかありませんでした。一方で『坂の上なのにありがとう』とお礼を言われたり、お庭に生えてるフキを『持っていきなさい』と新聞紙にくるんで頂いた事もあります。

配布中にいただいたフキ

配布中にいただいたフキ

ドキっとするのは犬です。小型犬に『ワンッ!』て吠えられるのは、その瞬間だけ『ドキっ』とすればいいのですが、庭の奥の方から大きい犬が『タッ、タッ』っと近づいてくる時は、ポストの前でUターンしつつも、頭の中では門を飛び越えて宙を飛んでいる犬をイメージして、体が硬直してしまいます。

昔はカットデザイナーに『仕事がない』と言われると、夜中に飛んで行ってチラシをまいたりしていました。ある時、深夜1時頃、バイクの男の人と何回か出くわしたので、『ここは、こんなに早く新聞配達をするんだなぁ』と思ってました。『ガシャ!』と音がして振り向くと、さっきの男が猛スピードで走り去りました。チラッと私と目が合いました。音のした所に行くと、車の窓が割られていました。車上荒らしだったのです。

それから数時間は、本当の新聞屋さんがあっちこっちで動き出します。近くでバイクの音がするたびに『ビクッ』と立ち止まり、物陰に隠れて音が過ぎ去るのを待ちました。明け方、チラシを配り終える頃に警察に通報したのですが、そんな挙動不審の私が1番不審がられたのは言うまでもありません。

引用元:お客様と「植木屋革命」クイック・ガーデニングをつなぐコミュニケーション誌 クイック・ガーデニング通信 2020年夏号vol.12 ,株式会社クイック・ガーデニング,2020年6月5日発行,6ページ