つる性植物の女王「クレマチス/Clematis」

クレマチス

クレマチスは「ツル性植物の女王」という異名を持ち、ツルバラに並んで人気を集めています。四季咲きであれば次々と鮮やかな風車のような花を咲かせるため、見栄えが良く、また、そのツルを活かして出来る、アレンジは様々です。耐寒性が高く、ガーデニング初心者でも育てやすい花木です。

クレマチスの特徴
クレマチスの種類
クレマチスの花言葉
クレマチスのお手入れ
クレマチスの植栽
クレマチスの病気
まとめ


クレマチスの特徴

clematis-350358_1920

キンポウゲ科のつる性植物で、センニンソウ属の総称です。新梢の頂部に1つ花を咲かせるのが特徴です。中国をはじめ、ヨーロッパ産など世界で約300種類以上の品種がありバリエーション豊かです。日本に自生する原種にはカザグルマやハンショウズルがあります。原種から交配された園芸品種もたいへん種類が豊富ですが、それらをまとめて「クレマチス」と呼んでいます。現在出回っている品種は四季咲き性のものがほとんどで、品種を選べば一年じゅう花を観賞することができます。 花の大きさから、色、形、咲き方など様々なので、好みのクレマチスを探すのも面白いです。品種により性質に違いはありますが、多くは耐寒性が強く高温多湿が苦手なものが多いです。日当たりが悪いと花数が減るだけでなく、 花色まで変わってくることがあります。


クレマチスの種類

nature-3247380_1920

カザグルマやラヌギノーサ、中国原産の鉄線(テッセン)などがヨーロッパに渡り、品種改良されて多くの園芸種が誕生しました。

蓼科(タデカ) 柿生(カキオ) クリムソンキング
カザグルマ系のつるをあまり伸ばさない青紫色の大輪の花を咲かせます。 カザグルマ系の明るいピンクの花を咲かせます。世界的にも有名なクレマチスの育種家の小沢一薫(おざわかずしげ)さんが生みだしたものです。 中国産のラヌギノーザ系で、赤い花を咲かせます。
白王冠(ハクオウカン) 江戸紫(エドムラサキ) ザ・プレジデント
紫色の大輪の花を咲かせる強健種です。 ラヌギノーザ系で、丸弁の濃い美しい紫の花を咲かせます。 濃い紫色の剣弁咲き品種で古くから親しまれています。
モンタナ系 カリシナ マクロペタラ
ヒマラヤ原産の中輪四弁花です。大きくアーチに仕立てると見栄えがします。 小輪の花を咲かせ、寒さに強く暑さには弱い品種です。 つる性ではなく、下向き咲きのベル形の花を咲かせます。菊咲きハンショウヅルルとも呼ばれます。

クレマチスの花言葉

clematis-1444236_1920

高潔・心の美しさ・貧弱・旅人のよろこび・たくらみ

花が美しく、鮮やかなのと比べて、ツルが貧弱なことから「高潔」や「心の美しさ」と共に「貧弱」という花言葉も誕生しました。「旅人のよろこび」は、クレマチスが旅宿の玄関などに植えられることが多く、旅人がその宿で安全に一夜をおくることができるようにという願いからきたものです。また、昔、ヨーロッパでは、野生のクレマチスのツルを森でたきぎを束ねるのに使い、ベッドの底に張るヒモや縄の代わりにもしていたそうです。しかし乞食たちには、もっと違った利用法がありました。彼らは、このツルで自分の身体に傷をつけ、さらにそこにクマチスの葉をこすりつけて腫れ物を作り、物乞いをしていました。そんな使われ方をされてしまったせいで、「たくらみ」という花言葉も生まれました。


クレマチスのお手入れ

flower-5176856_1920

本剪定は2月に行いますが、品種によって異なるので品種がはっきり分からない場合は前年に伸びたつるを半分くらいに切り詰めるようにしておくと安心です。2月にはふくらんだ花芽が分かりやすいので、花芽のないつるを選ぶのがポイントです。

四季咲き性は花が咲き終わりしだい開花枝を1節か2節程度のところで切り戻すと、切り口付近から新たに芽が伸び、その後、50日から60日頃を境に、茎頂に2番花を咲かせます。(下の図を参考)

同じ手順で3番花も同様にして楽しむことがきます。追肥を施すと新梢がよく伸び、良い花をつけます。クレマチスは花が終わった後に毛糸玉のような面白い実をつけ、その実をドライフラワーなどとしても活用することができます。

しかし花後に結実させると樹勢がやや衰えることがあるので、花がらは早めに摘み取り、元気のよい次の枝を出すようにするのがポイントです。

クレマチスは肥料を好むので、1~2月も寒肥えに油かすと骨粉を等量まぜたものを開花株に2握り施すほか、 5~6月と花後の9月には科学肥料を軽く、1握りばらまきます。さらに、年2,3回、草木灰を少量株元に撒いておくと効果的です。


植栽

clematis-3462471_1920

植え付け時期は2月もしくは寒冷地であれば4~5月頃が適期です。日当たり、排水がよくて保湿性の場所を好み、夏の高温、乾燥と日陰を嫌います。午前中十分日の当たる場所を選ぶようにしてください。穴は30㎝以上の深さに掘り、たっぷり完熟堆肥を入れ、苗の根鉢をくずないように植えます。たっぷり水やりをして根を落ち着かせてください。また、伸びたツルは支柱を立て、誘引しておきましょう。


病気対策

flower-5473606_1920

丈夫な花木ではありますが、いままで元気よく伸びていたのに、1週間くらいで枯れてしまうような立ち枯れ病に似た被害が出ることがあります。被害株は丁寧に抜きとり焼却し、新しい土に入れかえます。草木灰でカリ分を補うと、生育環境がよくなることで、根がよく張り、病気にも強くなります。


まとめ

クレマチスのツルの性質を活かして、壁やフェンスをにツルを這わせたり、アーチにするなど楽しみ方は様々です。しかし、クレマチスはどんどんツルを伸ばしてほかの植物の日光や水分を吸い取ってしまうこともあるので植える場所は気をつけてから楽しみましょう。

 

クレマチスカレンダー