高貴な美しさを漂わる「シャクヤク/芍薬/ Chinese peony」

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シャクヤク(芍薬)は字の通り、 薬草として平安時代に中国から日本に渡来しました。 ボタンとならんで豪華な花として親しまれ、江戸時代には数多くの園芸品種が誕生し、シャクヤクは日本の庭園に欠かせない花となりました。また、欧米でも品種改良が進み、洋風のお庭にもよく似合う美しい花です。

シャクヤクの特徴
シャクヤクの種類
シャクヤクの花言葉
シャクヤクのお手入れ(剪定や施肥)
シャクヤクの植栽
シャクヤクの病気対策系
まとめ


シャクヤク特徴

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玉のようなつぼみが徐々に咲き始め、薄い花弁が幾重にも重なり、ひときわ存在感を放つ花です。 ボタンとよく似ていて、「立てば芍薬、座れば牡丹」と美人を形容する花としても知られています。これはシャクヤクがまっすぐ伸びた茎の先に花をつけるのに対して、 ボタンは横に伸びる姿から例えられるようになりました。しかし、生物学的にはボタンが木本(モクホン)であるのに対し、 シャクヤクは草本(ソウホン)です。シャクヤクは冬季には地上部が枯れてしまいますが、それをすぎると発芽して再び生育を始める宿根草(シュクコンソウ)です。ボタン同様、寒さに強い反面、東京以西の夏の高温乾燥には弱い性質があります。


シャクヤク種類

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シャクヤクは薬草として中国から日本に渡りましたが、 一方、 西洋にも渡り、それぞれ品種改良が進みました。近年アメリカで は近縁種との交配によって、従来にない色が続々と誕生しています。シャクヤクの咲き方は一重咲きに、雄しべが花弁化した八重咲き、雄しべが多少残る半八重咲きなどがあります。さらに、大形化した雄しべが美しい 「金しべ咲き」、 細い糸状の雄しべが中央に集まる 「翁咲き」、中央部が豊かに花弁化して2層になった「冠咲き」、そして中心部まで花弁が一体化した「バラ咲き」など、雄しべの変化の仕方で様々なバリエーションがあります

富士(フジ) 春の粧(ハルノヨソオイ) ポーラフェイ
ピンクの花弁が洗練された印象の翁咲きの品種 極早生の品種で、華やかな桃色の花が特徴です。 鮮やかなピンクの花弁で、よい香りがする半八重咲き品種
ルーズベルト コーラルチャーム
スッキリとした青みがかかったピンクで、菊の香りがします。 コーラル色で、朝夕で花弁が開いたり閉じたりして表情が変わります。
白妙(シロタエ) マキシマ
中大輪バラ咲き品種で、ふわふわとした花弁が魅力的です。 淡いピンクの蕾が、咲くと白くなります。甘い香りが特徴です。

シャクヤクの花言葉

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・内気、はじらい、はにかみ、恥ずかしさ

ギリシャ神話において、医薬の神パイエオーンは、シャクヤクを使ってヘラクレスの矢で傷ついたプルトンの傷を治しました。しかし、医術の神アスクレピオスがこれを妬んで、パイエオーンを殺してしまいました。 自分を助けてくれた神の哀れな運命を悲しんだブルトンがパイエオーンをシャクヤクの花に変えたという神話があります。このように、シャクヤクは古くから薬用植物として知られていたことが分かります。現代では、血行をよくし、筋肉の緊張 を緩める作用が知られています。夕方には花びらを閉じてしまうことか ら、「はじらい」「はにかみ」という花言葉が誕生しました。

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シャクヤクのお手入れ(剪定や施肥)

鉢植えで楽しむ場合は、やや深めで大きめの植木鉢を選び、日のよく当たる戸外に置きましょう。 雨や風の強い日は軒下などに移せるようにしておくと安心です。シャクヤクは水はけと水もちのよい、肥沃な土を好みます。 赤玉土にピートモスや腐葉土を等量混ぜ、さらに堆肥を1~2割加えたものが適しています。 シャクヤクは肥料を好む植物なので、春になり、芽が伸び出したら、緩効性の化成肥料を株元に大さじ1杯 程度、芽出し肥として与えてください。つぼみが出てきたら、 大きなつぼみを残してほかは摘みとることで、株の消耗が防げ、 大きな花が楽しめます。花が散る前になるべく早く花首のところで花を切り取り、再び追肥を与えてあげるのがポイントです。シャクヤクは乾燥を嫌うので、表面の土が乾いてきたら、たっぷり水をあげてください。こうして育ててあげれば、花を咲かせるのは難しくありません。


シャクヤクの植栽

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同一場所に長年植えたままにしておくと、 株が年々弱ってくるという性質をもっています。 株が大きくなると芽が密生し、風通りや日当たりが悪くなる他、栄養状態も良くなくなり花も咲かなくなってきます。その場合には秋に植えかえをしましょう。植えつけ、植えかえは9月下旬が最適で、暖地では11月ごろまで可能ですが、それ以外の植え替えは控えてください。新芽ができ、根の活動が盛になった頃に行うと、花芽ができていても、根を傷つけてしまい、花芽の成長が止まります。植え付ける深さは、上の芽が3~ 5cmほど土の中に隠れる程度が目安です。深めに植えつけると芽が太り、大きな花が楽しめます。また、それまで 植えてあった場所は避けて植えることが大きなポイントです。


シャクヤクの病気対策系

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風通しが悪かったり、つぼみを長雨に当てたりしていると灰色かび病が発生しやすくなるので注意してください。特に花弁数の多い八重咲き品種に多く発症します。雨後には殺菌剤を散布し、風通しのよい 場所で管理しましょう。 また、センチュウと呼ばれる土の中にいる害虫に弱いので、用土は新しいものを利用しましょう


まとめ

晩春から初夏の花壇を華やかにしてくれる大輪の花をつけるシャクヤク。切り花にして室内で飾るとお部屋の雰囲気もいっきに明るくなります。コツさえつかめば毎年美しい花を楽しむことができますので是非、挑戦してみてはいかがですか?

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