柿(カキ)は秋に橙色の果実を実らせ、古くから家庭で親しまれてきた代表的な果樹です。栽培は比較的容易ですが、前年に伸びた「結果母枝(けっかぼし)」に実をつけるため、剪定では枝の見極めが重要になります。
また、成長すると高木になることが多く、高所での作業が必要になるため、安全面にも注意が欠かせません。剪定は木の健康と安定した実付き、管理しやすい樹形を保つために大切な作業です。
今回は、柿の剪定に適した時期と基本の剪定方法をご紹介します。
1. 柿の剪定時期
2. 柿の剪定は必要?
3. 柿の剪定に必要な道具
4. 柿の剪定方法
5. 柿の剪定で切るべき枝
6. 柿を剪定するときのコツ
7. 柿を剪定するときの注意点
8. 柿の育て方のポイント
9.まとめ
1. 柿の剪定時期

柿の剪定は、冬と夏の2回が基本です。
- 冬剪定(12月〜2月)
 
木が休眠期に入るため、ダメージが少なく済みます。前年に伸びた「結果母枝」と呼ばれる枝にのみ実が付く性質があるため、残す枝と切る枝の選定が大切です。冬剪定は主に、結果母枝を整理して、翌年の成長と実付きを良くする効果があります。
- 夏剪定(6月〜7月)
 
新芽が伸びる時期に行い、徒長枝を整理しながら全体の樹形を整え、風通しを良くすることを目的としています。これにより、病害虫の発生も抑えることができます。

2. 柿の剪定は必要?

柿は放置すると5〜10m以上の大木になることもあり、樹形が乱れると管理が難しくなります。庭木では2〜3m程度に抑えると剪定や病害虫の確認がしやすく、手入れも楽になります。
剪定は風通しと日当たりを確保し、内部の枯れ込みや病害虫を防ぐために重要です。さらに柿は前年の枝(結果母枝)に実をつけるため、剪定の仕方が収穫量に直結します。
余分な枝を整理して養分を集めることで、毎年安定した実りを期待できます。
3. 柿の剪定に必要な道具

柿の剪定には、以下の道具が必要です。
- 剪定ばさみ:細かい枝を切るために用います。太い枝の手入れでなければ剪定ばさみで十分です。
 - 園芸用手袋(軍手もOK):葉裏に潜む害虫や飛び出した枝から手を保護するために使用します。
 - 防護メガネ:目上の手入れは剪定枝の落下、裁断時の細かな塵などから目を保護するために着用します。
 
《 あると便利な道具 》
- 刈込ばさみ:広範囲の枝葉の切り落としや木の形を整えるために使用します。
 - ノコギリ:太い枝を切る場合は必要です。
 - 高枝切ばさみ:3m以上の金木犀の剪定に便利です。
 - 脚立:自分の身長より高い金木犀の剪定を行う際に必須です。
 
《脚立を使用する際の注意点》
脚立を使用する際は必ず平らで固い安定した足場を確保したうえで、脚立の取り扱い説明書を確認したうえで、脚立が倒れないよう十分に注意しましょう。
慣れていない作業は大きな怪我につながる可能性が高いため、少しでも不安を感じる場合は自身で作業を行わず、業者へ依頼することをおすすめします。
4. 柿の剪定方法

柿の剪定は、次の手順で進めます。
①不要枝の除去
枯れ枝・病枝・交差して擦れている枝・内向きや下向きの枝を取り除き、樹形を整えつつ病害虫のリスクを減らします。
②風通しの確保(透かし剪定)
枝が密集した部分を間引き、日当たりと風通しを改善します。
特に内側や平行に伸びる枝を優先的に切ることで、果実の品質向上や病害虫予防に効果的です。
③樹高・樹形の調整(切り戻し剪定/刈り込み剪定)
収穫や日常管理をしやすくするために、伸びすぎた枝や主幹の先端を好みの高さで切り戻します。柿は前年の枝(結果母枝)に実をつけるため、切り戻しの際はその枝を残すことが重要です。
樹形を整える夏の刈り込み剪定は、やりすぎに注意しましょう。
5. 柿の剪定で切るべき枝

■樹形を乱す枝
- 立ち枝:真上に勢いよく伸び、全体のバランスを崩す。
 - 下がり枝(垂れ枝):下向きに伸び、見た目や風通しを悪化させる。
 - 徒長枝:細く長く伸び、風に弱く、害虫の温床にもなりやすい。
 
■枝同士が混み合っている枝
- からみ枝:枝同士が絡み合い、風通しや日当たりを妨げる。
 - 交差枝:別の枝とこすれ合って傷つきやすい。
 - 平行枝:同じ方向に並行して伸びている。
 - 混み枝:密集していて光や風を遮る枝。透かし剪定の対象。
 
■方向の悪い枝
- ふところ枝(内向き枝):木の中心に向かって伸び、蒸れやすくなる。
 - 逆さ枝:幹に逆らって伸びる枝。樹形を乱す原因となる。
 
■成長や栄養バランスを乱す枝
- ヤゴ(ひこばえ):根元から出てくる枝で、主幹の成長を妨げる。
 - 胴吹き枝:幹の途中から出る枝で、樹全体の栄養バランスを崩す。
 
■不健全な枝(病気・枯死)
- 枯れ枝:水分がなく、折れやすい。病害虫の温床になる。
 
6. 柿を剪定するときのコツ

柿の剪定では、次の点を意識すると失敗を防げます。
● 花芽を落とさない
柿は前年に伸びた枝(結果母枝)の先端に花芽がつきます。これを切ると翌年の実付きが悪くなるため要注意です。
やや緑がかった細めの枝が結果母枝であることが多く、色や太さを見極めながら残します。
● 徒長枝・混み枝を優先的に処理する
花芽のない徒長枝や、風通しを妨げる混み枝・交差枝は根元から切除し、樹内に光と風を通して病害虫を防ぎます。
● 剪定は軽めに、頻度は年1〜2回
強すぎる剪定は枝枯れや樹勢低下の原因になります。基本は間引きを中心に、切り戻しは数年に一度にとどめましょう。
花芽ができる前に軽く整え、全体のバランスを見ながら「明るく風が抜ける樹形」を保つことが理想です。
7.柿を剪定するときの注意点

柿の剪定では、次の点に気をつけましょう。
● 適切な時期を守る
剪定は落葉後の冬(12〜2月)か、芽が動く前の早春が適期です。夏以降の剪定は花芽や果実形成に影響するため避けます。
● 深く切りすぎない
花芽や結果母枝を切ると翌年の実付きが悪くなります。樹形を整える程度に止め、混み枝・内向き枝を中心に整理します。
● 水やり・肥料は慎重に
剪定直後も水やりは通常通り。肥料はすぐではなく、2〜3月に有機質肥料を施すのが一般的です。
● 道具の消毒を徹底する
剪定ばさみは使用前に消毒し、病気の伝播を防ぎます。
● 太枝は癒合剤を塗布
太い枝を切った場合は、病原菌の侵入防止のため、乾く前に癒合剤を均等に塗ります。
適切な剪定は樹形・健康・実付きのすべてに直結します。不要枝を整理し風通しを確保することで、病害虫を防ぎ、美しい樹形と豊かな収穫を維持できます。
8. 柿の育て方のポイント

柿を健やかに育てるための基本ポイントは次の通りです。
● 適した環境に植える
日当たりと風通しの良い場所が最適です。日照不足は実の品質や収穫量の低下につながるため、十分に光が当たる場所を選びます。
● 土づくりを丁寧に
水はけと保水性のバランスが良い、弱酸性~中性の土が理想です。植え付け時に腐葉土や堆肥を混ぜておくと、根張りが良くなります。
● 肥料は適量で
多肥は不要ですが、12〜1月に有機肥料を元肥として施し、追肥は7月と10月に少量与えるのが一般的です。
● 水やりの目安
庭植えは根付けば基本的に水やり不要。ただし、植え付け直後や夏場の乾燥時は土の状態を見て適度に与えます。鉢植えは表土が乾いたらたっぷりと。
● 病害虫の予防と対策
炭疽病・円星落葉病・カキノヘタムシガなどに注意が必要です。風通しが悪いと発生しやすいため、剪定で予防し、異常が見られた枝は早めに除去・処分します。害虫は早期発見・早期駆除が大切です。
9. まとめ

柿は秋に実りを楽しめる庭木ですが、その魅力を引き出すには適切な剪定が欠かせません。剪定は実付きや品質に直結し、風通しと採光を確保することで病害虫も予防できます。
枝の切り過ぎは翌年の収穫減に繋がるため、目的に応じて慎重に行うことが大切です。
剪定に不安がある場合や、自分で剪定して「失敗したかも!」と思ったときは、専門の業者に依頼することで適切な管理をしてもらえます。
プロの技術を活用すれば、柿の健康を守りつつ、美しい樹形と豊かな収穫を期待できます。
           
              冨宇加ナターシャ |植木屋革命 WEBマーケティング・編集担当 植木屋革命のWEBコンテンツ全般を担当。これまでに執筆した記事は100本を超えます。 庭いじり初心者の方にもわかりやすく、気軽に楽しめるガーデニング情報を発信中。季節ごとの植木の手入れのコツや、ちょっと珍しい野草の話題など、暮らしに寄り添う“緑のヒント”をお届けしています。  | 
      


              
