庭で蜂を見かけたら・・。まずは危険な蜂か見極めよう

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みなさん日本にどれくらいの種類の蜂がいるか知っていますか?日本にはおおよそ4200種類の蜂がいます。
その中で危険な蜂はいったいどのくらいいるのでしょうか。
では危険な蜂とはどんな蜂でしょうか。見てみましょう。

<目次>
待って!その蜂ほんとうに危ない蜂?
スズメバチとアシナガバチの見た目と性質の違い
蜂の巣の形をみれば危険度がわかる!
もっともこの時期が危険!新女王バチが誕生する秋口に凶暴化
都会でも生き延びられるたくましさはエサにあり!?蜂の好む庭木とは
よせつけない!木のこげたにおいは蜂もビビって逃げ出す!?
もしもの時も慌てない!蜂に刺された時の対処方
「宝物」を守るために戦う蜂たち


■待って!その蜂ほんとうに危ない蜂?■

マルハナバチ2

じつは日本にいる蜂はほとんど「刺さない蜂」ですが、「人を刺す蜂」の見分け方としては「くびれ」があり、お腹のくびれが「く」の字に曲がり刺す事ができます。その代表がマルハナバチ、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチです。

「ハナバチグループ」と呼ばれる比較的おとなしい蜂グループにはマルハナバチとミツバチがいます。その名の通り蜜や花粉を集めます。ともにくびれのある蜂ですが攻撃性は低いといわれています。
羽音が大きく見た目が怖い黒い蜂(マルハナバチ)は別名、クマバチとも呼ばれますが、メスしか針をもっていません。一回刺すと死んでしまうミツバチと同じくらい攻撃性が低くこのハナバチ達は比較的温厚な性格をしていて刺すことはめったにありません。

「狩りバチグループ」と呼ばれる、ハナバチグループと違って毎年のように犠牲者を出すのが、スズメバチとアシナガバチです。家の軒下や天井裏、庭木などのあらゆる場所に巣を作るケースが全国的に報告されるようになりました。大きな巣を作るのに何年もかかると思いきや、大きくなるのに1年もかかりません。

蜂を見かけたらまずは種類を特定してみましょう。

種類によって性質や危険度が変わります。ここでもっとも危険な蜂であるスズメバチとアシナガバチの見分け方をみていきましょう。


■スズメバチとアシナガバチの見た目と性質の違い■

スズメバチとアシナガバチ-2

スズメバチは丸くて大きい体にオレンジ色のしま模様をしています。
スズメバチは蜂の中でも凶暴で、巣や蜂のそばを歩いていただけでも攻撃をしてきます。

一方、アシナガバチは黄色い細い体に脚も黄色です。
アシナガバチの性格は比較的大人しく、むやみに巣に危害を加えたりしなければ、襲ってくることはほとんどありません。

一番の特徴の違いは飛び方です。
ケタ違いのスピードで飛ぶのがスズメバチ、ゆらゆらと後ろ足をたらして飛ぶのがアシナガバチです。


■蜂の巣の形をみれば危険度がわかる!■

ハチの巣
巣を見つけることができれば形状が全く違うので分かりやすいです。

スズメバチの巣がボールに対しアシナガバチの巣は六角形の穴がたくさんあり、シャワーヘッド型です。
スズメバチは放っておかれた段ボール箱やヘルメット、パイプのなかなど「こんなところに?」と思うようなところにも巣を作ります。見えない場所に巣が作られているとは思わずに気付いたときには大きな巣が出来上がっていることもあります。

アシナガバチの巣は最大でも直径15cmほどですが、スズメバチの巣は1m近くにまで成長することもあります。
アシナガバチは開放的な場所を好み、多くは雨を避けられる軒下や木の幹などに巣を作ります。

 

■もっともこの時期が危険!新女王バチが誕生する秋口に凶暴化■

スズメバチとアシナガバチ

アシナガバチやスズメバチは昼行性で、日の出とともに働き始め暗くなると巣に戻ります。
特に餌を求める朝7時から8時ごろが最も活発的ですが、とても長い時間活動しています。

春に冬眠から目覚めた女王バチが1匹だけで巣づくりをはじめ、卵を産み、幼虫とさなぎを育てていきます。

梅雨があける頃になると、働きバチが次から次へ誕生していき巣はものすごい勢いで拡大していきます。そして女王バチは卵を産むことだけに専念するようになります。夏から秋に最盛期を迎えスズメバチとアシナガバチどちらも攻撃性が高くなるのはこの時期です。

秋口になると、女王バチは、オスバチと新たに女王バチになる卵だけを産むようになります。そしてその新女王バチとオスの幼虫にたくさんの餌を与え育てたあげた後、旧女王バチと働きバチの役目は終わります。

しだいに巣は徐々に拡張が止まり、新女王バチとオスバチは巣を離れます。オスも新女王バチと交尾を済ませると短い一生を終えます。新女王バチだけが冬眠に入り、春を待つことができるのです。

hachi


■都会でも生き延びられるたくましさはエサにあり!?蜂の好む庭木とは■

樹木に集まる

自然の少ない都会の中でも生きていくことが出来る最大の理由はなんでも餌にできるたくましさがあるからです。
蜂の好む餌をみてみましょう。

スズメバチとアシナガバチの成虫の主な餌は、樹液や虫なので、樹液が豊富なクヌギ、コナラ、タブノキ、アベマキ、ハルニレなどの樹木によく集まってきます。このように昆虫たちが糖分を求めて集まって来る場所を「樹液場」と呼びます。

その中には生け垣によく利用されるベニカナメモチ(レッドロビン)や、プリペット(セイヨウイボタノキ)、ネズミモチ、シマトネリコ、バラ、ヤブガラシ、キヅタ、ヒイラギナンテンなどがあげられます。他には、ブドウやモモ,イチジク、梨などの甘い香りがする果物にもよく集まります。

また、樹液以外にエサにしているのが、アブラムシやカイガラムシのお尻からでるあまい汁に、寄ってくるハエ、アブ、カメムシ、トンボ、セミ、クモ、バッタたちです。どれもが家庭菜園や庭木に集まるありふれた虫ばかりです。蜂たちはそれらの樹液と虫を目当てにお庭へやってきます。

樹液に寄ってきた蜂は、食事を終えれば去っていく可能性が高いですが、樹液が出ていない木に寄りついている場合は、その樹木が蜂にとって巣作りしやすい環境である可能性があるのでよく注意してみてください。


■蜂をよせつけない!木酢液は蜂も逃げ出す!?■

木酢液

蜂対策の絶対条件は巣や蜂をみかけるところに「近づかないこと」。

他にできる対策とは、

庭にでるときの服装や行動・・・夏の庭のお手入れをするときは必ず帽子をかぶり、蜂が刺激しやすい黒っぽい服装は避けてください。またにおいが蜂を刺激するので香りの強い整髪料や柔軟剤に注意が必要です。
蜂がもし周りに近づいて来たら、姿勢を低くし、手ではらうなどの大きな動作をしないように心がけましょう。

蜂の嫌いな木酢液・・・蜂は匂いに敏感なので蜂の嫌いなにおいのする木酢液(もくさくえき)が効果的です。
木酢液とは木から炭をつくるときにできる液体で、木が焦げたような苦くて酸っぱいにおいがします。焼けこげたにおいに蜂が本能的に避けるのではないかと言われています。

植物由来の成分でできているため、ペットや子どもがいるご家庭や植物にも安心して使えます。水で薄めたものをペットボトルに入れて木に吊り下げたり、蜂が好みそうな場所や樹液のでる木に霧吹きすることによって蜂を遠ざけることが出来ます。

越冬できそうな場所作らない!・・・庭に使っていない鉢植えや板が放置されていませんか?自分の家や庭で越冬されると、次の春に女王バチが庭を徘徊し、巣を作ることになります。

蜂の殺虫剤は逆効果の例も・・・種類によっては効果がないものやしばらくすると起き上がってきたなどの報告もあります。アシナガバチやスズメバチの巣の駆除は命を落とす危険性もあるので専門業者に依頼することをお勧めします。

 

蜂の巣の予防は、女王バチが冬眠から目覚める4〜5月頃までに行っておくこともポイントです。


■もしもの時も慌てない!蜂に刺された時の対処方■

刺されたら

刺されてしまった場合、すぐに刺されたところをつまんで毒を絞りだすようにしてから水で洗い流しください。ポイズンリムーバーは、より確実に傷口から毒液や針を吸い出してくれる優れものです。夏場のアウトドアにも携帯することをお勧めします。

十分に毒を吸い出した後に、もし家に抗ヒスタミン剤の軟膏があれば塗り、急いで病院(皮膚科や内科)を受診しましょう。

生活の場が広がった蜂たちと、そこに住んでいる人間との間にトラブルが起きてしまうようになりました。蜂に刺されると激しい痛みを伴い、人によってはアナフィラキシーショックにより亡くなる方もいらっしゃいます。


■「宝物」を守るために戦う蜂たち■

アシナガバチ2

「こわい」とレッテルをはられてしまった蜂ですが、周囲に巣がない状態であれば、見かけても過剰に怖がる必要はありません。庭木に付く毛虫やイモムシなどの害虫も食べてくれ、花粉を媒介してる益虫でもあります。
しかし人の近くにある巣を見つけた場合は早期に駆除する事をおすすめします。

蜂たちはとても大きな巣を作り何百という幼虫やさなぎを養っています。そしてその幼虫は他の生き物からしても大変魅力的な食料でこれを狙う天敵はたくさんいます。

蜂たちは狩りに毒針を使う事はありません。蜂の毒針は自分たちの巣を奪おうとする天敵である動物や人間たちを撃退するために備わった武器なのです。

私たちにとっても蜂にとっても住みやすい環境づくりの為には、まず巣を庭に作らせない事がとても重要です。

その為、定期的な見回りと掃除、庭木の剪定に雑草を取り除くことが巣を作らせない近道です。蜂も一つの生き物として尊重し、上手に付き合っていけることを目指していけたらいいですね。

巣の撤去