家庭菜園といえば、まず「土を使う栽培」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
今回ご紹介するのは、土を使わず「水」と「液体肥料」だけで植物を育てる水耕栽培です。
観葉植物はもちろん、野菜も育てられ、広いスペースがなくても室内で手軽に始められることから近年人気が高まっています。
この記事では、身近な材料で始められる水耕栽培の方法をご紹介するとともに、実際にミントを育てた様子もお届けします。ぜひ参考にしてみてください。
< 目次 >
1.水耕栽培の6つのメリット
2.水耕栽培にオススメな野菜
3.水耕栽培の始め方
➀野菜を再利用する場合【難易度:低】
➁苗から育てる場合【難易度:中】
➂種から育てる場合【難易度:高】
4.水耕容器はどうする?ペットボトルを使ってみよう!
5.成長を促すための管理
6.水耕栽培で種からミントを育ててみた
7.まとめ
1.水耕栽培の6つのメリット

水耕栽培には、嬉しいメリットがたくさんあります。
- 初心者でも栽培できる
専門的な知識や技術がなくても気軽に始められます。
- 生育が早い
土栽培に比べて植物の成長が早い傾向にあります。
- 部屋が汚れない
土を使わないので、衛生的で部屋が汚れる心配がありません。土づくりの手間も不要です。
- 害虫が発生しにくい
密閉された環境で育てやすく、土からの害虫の侵入も防げるため、無農薬で育てやすいです。殺虫剤を使う場合も少量で済みます。
- 狭い場所でも育てられる
コンパクトなスペースでも始められるため、マンションのベランダや室内でも楽しめます。
- 季節や天候の影響を受けない
室内で管理するため、外の気温や天気の影響を受けずに安定して栽培できます。
2.水耕栽培にオススメな野菜

水耕栽培ではさまざまな野菜を育てられますが、初心者に特におすすめなのはミニトマトです。
そのほかにも、ハーブ類やリーフレタス、ミツバ、ホウレンソウ、ケール、大葉、パセリ、バジル、ラディッシュなどの葉物野菜は育てやすい品種です。
慣れてきたら、少し難易度の高い野菜にもぜひ挑戦してみてください。
3.水耕栽培の始め方

水耕栽培には大きく分けて3つの始め方があります。野菜を再利用する方法、苗から育てる方法、そして種から育てる方法です。
それぞれにメリットや注意点があるため、自分に合ったやり方で気軽に始めてみましょう。
➀野菜を再利用する場合【難易度:低】

スーパーで購入した豆苗は、使ったあとでも再び育てられます。
豆から5〜7cmほど上で茎を切り、浅い容器に入れて毎日水を替えると、再び約15cmまで伸びてきます。
手軽に始められるため、水耕栽培を試してみたい方には最適です。
ただし何度も再生できるわけではなく、1〜2回収穫したら新しい豆苗に買い替えるのがおすすめです。

➁苗から育てる場合【難易度:中】

種からの栽培は失敗することもあるため、すぐに収穫を楽しみたい初心者には苗から始める方法がおすすめです。
土で育った苗には害虫や病原菌が付着している可能性があるため、使用前に根をよく洗いましょう(植物によっては扱いが異なる場合があるので注意してください)。
水耕栽培向きの苗としては、レタス類(リーフレタス・サニーレタスなど)や水菜・小松菜・ほうれん草などの葉物野菜、ミント・バジル・パセリなどのハーブ類が扱いやすく、実ものではミニトマトも比較的育てやすい品種です。
これらの苗はホームセンターや園芸店で手軽に購入できます。
【準備するもの】
- 野菜の苗
- 液体肥料
- 水
- 栽培容器(ペットボトル、コップなど)
★苗の選び方のポイント★
- 葉色が濃い緑色
- 病害虫の被害がない
- 植物の下のほうの葉がしっかりしている
【手順】
- ポットから苗を取り出し、根を傷つけないように優しく、バケツなどの容器で根と土が固まった部分をほぐす。
- 根の下3分の1くらいが浸かる程度に水に浸し、日陰にしばらく置いて新しい根が出るのを待つ。
- 遮光シートやアルミホイルを巻いた水耕栽培容器に苗を移す。
- 直射日光を避けた明るい場所に置く。
➂種から育てる場合【難易度:高】

種から育てるメリットは、苗よりも安価で経済的であること、そして土で育った苗よりも移植後に順調に育ちやすい点です。
ただし、種が発芽しないこともあり、苗から育てるよりも栽培に時間がかかることもあります。
【準備するもの】
- 野菜の種
- 液体肥料
- 水
- 栽培容器(ペットボトル、コップなど)
- 水溶性のトイレットペーパー
- 遮光シート、アルミホイル(根の部分を暗くするため)
- 柔らかいスポンジ(台所用で可、ただしメラミンスポンジは不可)
【あると便利な道具】
- 茶こし(種まき用)
- 包丁、カッター、はさみ など
【手順】
- スポンジを2~3cmのさいの目に切る
- 容器に3分の1ほど水を入れて、①のスポンジに水を含ませる
- ピンセットで各スポンジに種を2~3粒まく
- 乾燥対策として種の上に水溶性のトイレットペーパーを置き、少し水かける(トイレットペーパーは保湿の効果や、種がずれたりしない役割もあります。また水が溶けにくいトイレットペーパーの使用はできません)
- 発芽するまでは日陰に置き、毎日水は入れ替える
- 本葉がひらき発芽したら、遮光シート又はアルミホイルをまいた水耕栽培容器に移す
- 直射日光を避けた明るい場所に置く
4.水耕容器はどうする?ペットボトルを使ってみよう!

専用の容器を買わなくても、身近なペットボトルを使って手軽に水耕栽培容器を作ることができます。
★ペットボトル容器のメリット
- 根からの酸素吸収を妨げない
- 植物が安定した姿勢を保持できる
- 藻が発生しにくい
- 水の濁り具合を確認できる
- 捨てる素材を再活用できる
<ペットボトル栽培容器の作り方>

- きれいにすすいだペットボトルの上部約3分の1を切り、ひっくり返して下部に押し込む
- ペットボトルの飲み口に、スポンジに固定した苗をはめ込むか、スポンジなどを使用して苗がまっすぐになるように固定する。
- 藻の繁殖を防ぐため、ペットボトルの根の部分には遮光シートやアルミホイルを巻く。
5.成長を促すための管理

水耕栽培で植物を元気に育てるためには、いくつかの管理のコツがあります。
水替えのタイミング
水が少ない容器や日当たりの良い場所では水が傷みやすいため、定期的に交換しましょう。濁りやぬめりが出たらすぐに替えるのが理想です。
目安:夏は1日1回、冬は3日に1回。雑菌の繁殖を抑えられます。
酸素不足の予防
水耕栽培の失敗原因の多くは根腐れです。根の約3分の2だけを水に浸し、一部を空気に触れさせると酸素不足を防げます。夏は酸素が不足しやすいため、水位をやや下げると安心です。
置き場所
直射日光は避け、明るい日陰で管理しましょう。直射日光は水温上昇や不純物の発生を招きます。適温は15〜25℃。LED照明付きキットを使えば、室内のどこでも栽培可能です。
肥料は液体タイプがおすすめ
葉が茶色になるなど元気がない場合は肥料を追加します。水耕栽培には溶け残らない液体肥料が適しています。一般に、家庭では成長の早い化成肥料が使われます。
水耕栽培用はミネラルバランスが調整されているため、土用の肥料ではなく水耕栽培専用を選び、水替え時に定期的に与えましょう。
6.水耕栽培で種からミントを育ててみた

種から育てるメリットは、苗よりも安価で経済的なことに加え、土で育った苗よりも移植後に順調に育ちやすい点にあります。
ただし、発芽に失敗することもあり、苗から育てるより時間がかかる場合があります。
今回はあえてこの「種から育てる」方法でミント栽培に挑戦しました。小さな種からあの清々しい香りのミントが本当に育つのか、半信半疑ながらスタートです。

台所用スポンジを2〜3cm角に切り、種まき用の土台を作ります。
容器に1/3ほど水を入れ、スポンジに十分に吸水させます。ミントの種はとても小さく、スポンジも軽いため、タッパーなどに入れると水面で動いてしまいがちです。
そこで私はペットボトルのキャップを利用し、その中にスポンジをセットすることで安定させました。細かい種を扱う際に特におすすめです。
各スポンジに1粒ずつ種をまくのが基本ですが、今回は比較用に、意図的に大量に種をばらまいた「密植スポンジ」も作りました。

乾燥防止のため、種の上に不織布ふきんをそっと載せ、水を少量かけて保湿し、種が動くのを防ぎました。

発芽するまでは日陰に置き、毎日水を交換。数日後、小さな緑色の芽がスポンジから顔を出した瞬間は、思わず「やった!」と声が出ました。

育て始めてから約4か月、最終的に下の写真のような姿まで成長しました。
しかし、生育スピードはかなりゆっくりで、栄養不足の可能性があります。今後は液体肥料の追加も検討したいと思います。

<番外編>
「準備が大変そう…」という方には、市販の水耕栽培キットもあります!
日々ぐんぐんと成長していて、葉もつやつやです。

7.まとめ

今回は、土を使わずに手軽に始められる水耕栽培について、メリットから具体的な始め方、そして収穫後の活用法までご紹介しました。
最近では、水耕栽培に必要な道具が揃ったキットもホームセンターなどで手軽に購入できます。
ライフスタイルに合ったアイテムを選んで、安心安全な野菜やハーブを自宅で育ててみてはいかがでしょうか。
気軽に始められる水耕栽培で、日々の暮らしに小さな彩りを添えてみてください。
冨宇加ナターシャ |植木屋革命 WEBマーケティング・編集担当 植木屋革命のWEBコンテンツ全般を担当。これまでに執筆した記事は100本を超えます。 庭いじり初心者の方にもわかりやすく、気軽に楽しめるガーデニング情報を発信中。季節ごとの植木の手入れのコツや、ちょっと珍しい野草の話題など、暮らしに寄り添う“緑のヒント”をお届けしています。 |
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