【庭木の病気】枝や幹の症状からみる対策と対処法とは

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植物を楽しむうえで病気や害虫は悩みの種ですね。高温多湿の日本でさまざまな病気があり、気づかぬうちに被害が広がっているケースも。
「表面がゴツゴツしてきた」「カビのようなものがはりついている…」など異変に気づいたら、早期対処が大切です!放置していると樹勢が衰えるばかりでなく、枯死することもあるのでよく観察することが必要です。枝や幹にあらわれる症状をみてみましょう。

目次
枝の先がほうきのようになっていたら「てんぐ巣病」
べったりと塗り薬を塗ったようになっていたら「こう薬病」
太い枝の樹皮が膨れ上がっていたら「胴枯病」
表面にゴツゴツしたこぶができていたら、「こぶ病・癌腫病」
マツがこぶ病に!こぶ病の一種カビの仲間「さび病菌」
まとめ


枝の先がほうきのようになっていたら「てんぐ巣病」

てんぐ巣病

細かく枝分かれし、ほうきのようになっていたら「てんぐ巣病の」可能性あり!

枝の一部がコブ状になり、そこから細い枝がたくさん発生します。これらは次第に広がり鳥の巣のように見え、天狗の休み場と言われてきました。枝分かれした部分には花はつきません。発病してもすぐに枯れることはありませんが、病気の部分が折れやすくなるので別の病気を併発してしまう可能性があります。また、放っておくと年々被害が大きくなり、いずれ樹木全体が病巣化し樹勢が衰えていきます。

【発生しやすい樹木】
サクラ類、ツツジ類、竹類、アスナロ(ヒバ)、カンバ類、ササ類、サワラ、シイノキ類、など。

【発生しやすい時期】
4月~12月。その中でも特に発生しやすいのは4月~8月。

【発生の原因】
病原体は糸状菌によるものです。ファイトプラズマという細菌にもよりますがこれは桐のみに発生します。白っぽい粉状の胞子が雨滴に混じって周囲に飛散し広がっていきます。発病までの経路が明らかにはなっていませんが、病原体が新芽の組織から侵入し、その中で越冬し翌春に発生していると考えられています。

【対策と予防】
冬季に病巣のもとにあるふくらみを残さず切除しましょう。数年は切除を続け感染源を完全に断ちましょう。


べったりと塗り薬を塗ったようになっていたら「こう薬病」

べったりと塗り薬を塗ったようになっていたら「こう薬病」の可能性あり!

枝や幹の表面に厚いフェルト状にカビが発生します。その見た目が薬を塗ったようなことからこの名が付きました。カイガラムシと共生することで引き起こす病気です。
病斑の色は灰色、茶色、黒褐色など様々で美観が損なわれるだけでなく、生育にも影響が出ます。

【発生しやすい樹木】
サクラ、ウメ、グミ、カキノキ、アカメガシワ、キンモクセイ、サンショウなど。

【発生しやすい時期】
こうやく病菌はカイガラムシの排せつ物や分泌物をエサとして繁殖しています。カイガラムシの繁殖がピークである5月~7月に発生しやすいです。

【発生の原因】
カイガラムシは幼虫、成虫ともに樹木に針状の口を刺し吸汁します。その傷跡からこうやく病菌が樹皮下に進入していきます。カイガラムシを媒介としてウイルスや細菌によって引き起こされます。

【対策と予防】
カビの部分は、軽度であればブラシでなどで落とす事ができますが、広範囲に広がった場合は対処が必要となります。風通しや日当たりの悪い環境がカイガラムシを発生させると共にこうやく病を併発させます。硬い殻に覆われたカイガラムシの成虫には、殺虫剤もあまり期待できないため、密植を避け、定期的な剪定でカイガラムシを発生させないことがポイントです。
枝などの発生であれば枝ごと切り落としましょう。


太い枝の樹皮が膨れ上がっていたら「胴枯病」


太い枝の樹皮が膨れ上がっていたら「胴枯病」の可能性あり!

太い枝の分岐点などの樹皮が膨れ上がります。内部を見ると柔らかく褐色に変化していて、腐敗がみられます。やがてその部分は乾燥して陥没してきます。表面にたくさんの小さなボツボツした突起状のものが形成され、樹肌がザラザラになります。湿気の多い時期にブツブツから黄色の粘塊物を出します。小枝に出る場合はその病斑が枝を一周すると、患部から上が枯れていきます。

【発生しやすい樹木】
サクラ類、カエデ(モミジ)類、クリ、ナシ、モモなど

【発生しやすい時期】
8月中旬~11月中旬頃に多いです。病斑は春先から梅雨期にかけて広がっていき、夏には停滞しますが、秋に再び活動していきます。

【発生の原因】
病原菌は糸状菌の一種です。害虫の食害や凍霜害でできた傷口から侵入し、組織内で越冬します。そして春から秋にかけて胞子を放出し、風や雨、昆虫、鳥などによって広がっていきます。

【対策と予防】
被害が拡大しないように、患部から健全部を含めて大きめに樹皮を削り取ってください。小枝であれば秋から早春の間に切除しておきましょう。排水不良や過度な剪定により樹勢が衰えると、胴枯病にかかりやすくなるので、枝の配置を考えて剪定し、日焼けや霜、凍結に注意しましょう。また、排水をよくして耐寒性を高めることもポイントです。


表面にゴツゴツしたこぶができていたら、「こぶ病・癌腫病」

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表面にゴツゴツしたこぶができていたら、「こぶ病・癌腫病」の可能性あり!

樹木の枝、幹にこぶができます。若枝のときは小さい豆粒程度だったものが成長とともにこぶも大きくなっていき、大きいものではサッカーボールほどになります。こぶの表面はゴツゴツザラザラしていて、樹種によっては樹脂が出てきます。こぶが増えるとこぶから先の枝は枯れるか折れてしまいます。美観が損なわれると言われる「こぶ病」ではありますが、その一方、「身代わり癌封じ」のご霊木として神社などで祀られ人々を癒しています。

【発生しやすい樹木】
サクラ類、マツ類、ヤナギ類、サワラ、スギ、センダン、フジ、ブナ、ビワ、ユズリハ、クルミ、サルスベリなど

【発生しやすい時期】
季節は問いませんが、特に雨が続く時期や、湿度が高いときに発生しやすくなります。

【発生の原因】
ほとんどは細菌によって発生します。病原細菌は昆虫などによって運ばれ、傷口から侵入します。細菌が増殖するときに分泌する成分によって組織の細胞が増え肥大します。しかし、同じこぶ病という名前でありながら、マツのこぶ病はカビの仲間である糸状菌(※さび病菌)によっておこるため、病名が同じでも違う病原菌です。菌と細菌では治療法や薬も違うので注意しましょう。

【対策と予防】
こぶを発見してもまずは様子を見ることをお勧めします。というのも、こぶ自体には樹木がもつ自然治癒力により抗菌作用のあるホルモンがここに溜め込まれている可能性があります。こぶが出来たからと切除してしまうとそのホルモンもなくなるため、樹木自体を弱らせてしまうことがあります。(自然治癒でこぶが自然剝離することもあるようです)
ただ外観を保つために切除が必要な場合、その傷口から細菌が入り込み、こぶが再発してしまう危険性があるので、切口には癒合剤を塗って傷口をふさぎ、殺菌剤を散布すると安心です。あまりにも症状がひどい場合は、伐採の検討が必要かもしれません。

 

マツがこぶ病に!こぶ病の一種カビの仲間「さび病菌」

マツがこぶ病に!カビの仲間「さび病菌」に注意!

苗木から老木まで幅広く被害がみられます。この病気はさび菌類の一種によって起こされる伝染病です。さび病菌には同じ種類の植物の間を伝染するタイプと違う植物の間を行きかう2つのタイプがあります。
成長にあわせ、快適な環境を求め、マツとクヌギやナラ類の間を交互に寄生して生活しています。その時にマツはこぶ病になり、ナラ類には毛さび病を引き起こします。
さび菌はカビですので、湿気の多いところに発生します。植える時は株と株の間は十分にとり、日当たりと風通しを良くしておきましょう。


まとめ

病気の中でも注意しなければならないものが、伝染する病気です。病気に一度かかると回復させることが困難なうえ、その木が新たな伝染源にもなりかねません。病気にかかった枝などを取り除くときにハサミやノコギリを使うと、そこに病原菌や微小な害虫がつき他の植物に病気を移したり害虫を繁殖させてしまう危険性があるのでよく注意しましょう。
また病気になるということは、樹木の抵抗力が弱っているということ。根本的な土壌改良の必要も出てきます。
大きな被害となる前に、わからない点があればプロに相談することをお勧めします。

ちなみに樹木の病原菌は人体のものとは違い、研究があまり進んでいないのが現状です。
もっと樹木への関心が高まれば研究が進み、病気を防ぐ方法はもちろん、人と樹木のよりよい調和にもつながるようになればいいですね。